さて、プロになってきた選手達の子ども時代の共通点とはいったんどんなところにあるだろう?
僕は聞きました。
「マノーロさん。他のクラブでプレーしている育成年代の選手をオサスナ下部組織にスカウトしようと思った場合、どんな部分を見るんでしょうか?」

写真1 マノーロ氏(http://www.osasuna.esより)
するとマノーロさんはこう答えてくれました。
「基本的には全ての要素を見なければいけません。
ただ、最終的には(プロになる選手とそうでない選手の違いは)細部に宿っていることが多いかも知れませんね。
一般的に各地域を代表するプロクラブはまず技術的に高いレベルを持つ選手を集めます。
もしくは、決して見栄えは良くなくても(技術が高いと同義)フィジカル的に優れている選手を優先して獲得したりしますね。
しかしながら、僕はこう思うわけです。
これらの選手が将来最も優れた選手達になるのかと言えばそうではありません。
僕はこれまで技術が高かったり、フィジカルが強かったりするもののトップに上がることができなかった選手を本当に沢山見てきました。」

写真2 オサスナ総合練習場 ユース年代の試合
僕は聞きました。
「ではどういった部分を見ているのですか?」
するとこう答えてくれました。
「僕はいつもその見たい選手が所属しているチームが負けるであろう試合を観に行くようにしています。
僕はいつもスタッフに聞きます。
その試合負けるのか?
負けるなら観に行こう、と。
なぜかわかりますか?
なぜなら本当に良い選手とそうでない選手というのはその選手が苦境に立たされた時に違いが出てくるからです。
自分が所属しているチームが試合に負けている時、絶対にプロになれない選手は往々にして何をするか?
ミスをした選手を責めます。
走らなくなります。
味方のせいにします。
試合を放棄しようとします。
一方でこれまで僕が見てきた選手達でプロになってきた選手はみんなそうではありませんでしたね。
彼らはチームが例え0-4,0-5で負けていても俄然チームを引っ張ることができる子達でした。
その中には黙々とプレーで示す選手もいるかも知れませんし、声を出してチームを鼓舞する選手もいるかも知れません。
ただ、味方には文句を言わず必死で戦う選手達でした。」

写真3 オサスナ総合練習場
さて、みんなはどうかな?
みんなはきっと才能を持っている選手だと思う。
それは技術的才能かも知れないし、フィジカル的才能かも知れない。
そして戦術的才能を評価されているかも知れない。
でも、今マノーロさんが言っていた部分についてはどうかな?
みんながプレーしているチームが苦しい状況に立たされた時、みんなはどんな行動をとっているだろう?
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