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岡崎 篤(おかざき あつし)
大阪府枚方市出身
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スペイン北部ポルトゥガレーテ市在住日本・スペイン両国共に全ての年代の指導を経験し、現在は社会人チームとU10チームの監督を兼任。同時に指導者養成学校にてスペイン最上級ライセンスを取得中。
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社会人リーグの試合中

指導者養成学校
筑波大学にて体育・スポーツ科学を専攻。
在学中はサンダーズFC(5年間)、筑波大学蹴球部(2年間)を指導した。

サンダーズFC

筑波大学蹴球部
2010年9月 スペインパンプローナ市へ渡る。C.A.オサスナ下部組織にて研修の後、C.D.オべレナU-14コーチに就任。

C.D.オベレナU-14
2011-2012シーズン ビルバオ市へ渡りアスカルチャFTのU-14の監督として活動。スペイン指導者養成レベル1を取得。

アスカルチャFT U-14
2012-2013シーズン Cポルトゥガレーテへ移籍し、U17監督として活動。スペイン指導者養成レベル2を取得。

CポルトゥガレーテU-17
2013年夏、“スペインサッカークリニックinつくば”の講師を務める。指導者講習会、並びにつくば市U12トレセン、筑波大学蹴球部を指導の指導に当たる。



スペインサッカークリニックinつくば
2013-2014シーズン アスカルチャFTトップチーム監督並びに同クラブU10監督として活動中。スペイン指導者養成レベル3を取得中。

アスカルチャFTトップチーム


アスカルチャFT U-10
ブログ記事一覧
第50号 監督業はマラソンの様なもの?
第49号 運ぶ“エリア”を考える
第48号 運ぶドリブルにも種類がある
第47号 日本の駄菓子は大人気
第45号 どちらが正しい?
第44号 頭で始まって足で終わる?
第43 号 スペインの“育成”リーグ戦
【アスカルチャに外国人監督 岡崎篤】
第41号 サッカーのことどれくらい好きですか?(2)
1号〜10号
11号〜20号
21号〜30号
31号〜40号
41号〜50号
51号〜60号
61号〜70号
71号〜80号

 

 
第50号 監督業はマラソンの様なもの? 2014.04.02
今回は今現在僕がこちらで経験していることの中から話をしたいと思います。

こちらでサッカーチームの監督をしているとマラソンを走っている様な気持ちになります。

その理由を今から説明したいと思います。


写真1:今年岡崎が監督を務めるチーム

最初に僕を含めこちらのサッカー指導者が行っている業務をざっと書き上げてみました。

1)選手のスカウト(一年間一緒に戦うメンバーの選定)
2)その年のチームのプレースタイルの構築
3)毎週の対戦相手に合わせた自チームのプレースタイルの微調整
4)その週でどういった要素をトレーニングするか
5)トレーニングメニューの構築・実行
6)試合時のモチベーションの調整(どう戦場に向かわせるか)
7)試合中の試合構造の分析
8)試合中の交代の判断
9)選手個人との信頼関係の構築
※これらに加えプロリーグの監督になると新たに以下2つ業務が加わるといわれています。
 10)クラブとの経営陣とのコミュニケーション
 11)マスコミとのコミュニケーション

僕の場合は16チーム間でホーム&アウェーのリーグ戦を行っているので、上記の3)〜9)の作業を9ヶ月間毎週行います。


写真2:今年岡崎が監督を務めるチームの所属するリーグの試合

この一連の作業には沢山のエネルギーが必要です。

そして待ちに待った週末の試合では思うような結果が出るとは限りませんよね。

劇的な結末で勝ち点3を得ることもあれば、惨敗してしまったり、思わぬアクシデントに遭遇したりして勝ち点を得られずに終わることも頻繁にあります。

そんな日は落ち込んで帰宅するものです。


写真3:今年岡崎が監督を務めるチームの所属するリーグの試合

しかし、サッカー監督がマラソンランナーの様だと思う所以は、翌日にはまた切り替えて新たに3)〜9)の作業に臨まなければいけないというところです。

そのように毎週試合を行っていく内に、徐々に勝ち点が積み上がっていき、先頭集団、中位グループ、下位グループといった複数のグループに少しずつ少しずつ別れていきます。

 

 
第49号 運ぶ“エリア”を考える 2014.03.19
■3つのエリア

ボール運ぶのに適しているエリアってあるのかな?

図のように、ピッチを3つに分けて見てみよう。



ボールを運びやすいのは“安全第一エリア”と“つくるエリア”だよね。

なぜならより多くのスペースがあるから。

“フィニッシュエリア”には多くの相手選手がいて運ぶ為の時間とスペースが他と比べて少ないからだよね。


■安全第一とつくるエリア

ボールを運ぶ上でみんなに注意して欲しいことがある。

それは安全第一エリアとつくるエリアを使い分けて欲しいということ。

安全第一エリアはその名の通り、安全が第一に優先されるエリア。

自陣のゴールに最も近いこのエリアでボール失うということは大きなピンチを招くことを意味する。

一方つくるエリアではシュートを打つ為に何かを創らなきゃいけないエリア。




安全第一エリアでも勿論ボールは運ぶことは必要だよ。

“引き寄せる為に”運ばなければいけないし、



“前進する為に”運ばなければいけない。


“相手を固定する為に”運ばなければいけない。


でも“安全第一”であるってところがつくるエリアと違うところ。

相手FWとぶつかり合ってまでボールを運ぶのは“安全第一”ではない。

相手が密集している場所に向かってボールを運び、難しいパスを出そうとすることも安全第一ではない。

急がずにもう一度やり直せばいい。

このように同じ運ぶドリブルを行うにしても少しエリアを意識してみよう。

 
 
第48号 運ぶドリブルにも種類がある 2014.03.10
第24号での話を覚えているかな?

ドリブルには大きく分けて3つの種類が存在するっていう話をしたよね。

◆守るドリブル
◆運ぶドリブル
◆抜くドリブル

今回はその中でも運ぶドリブルについて考えていこう。

運ぶドリブルにもいくつか種類があるんだ。

何の為に運ぶのか?その目的によって区別することができるよ。

今回はその代表的な3つを紹介しよう。

1)“引き寄せる為に”運ぶ


相手をあるサイドに寄せ付ける為にボールを運ぶことってあるよね。

そうすることで別の場所にスペースをつくることができる。

そのして後でそのスペースを使おうというものだよね。


2)“相手を固定する為に”運ぶ



“固定する”ってどういう意味なんだろう?と思った人もいるかも知れないね。

それはボールを運ぶことで相手選手の注意をこちらに向けさせ、暫く動けなくさせてしまうことだよ。

その間に仲間はフリーになることができる。


3)“前進する為に”運ぶ


目の前にスペースがあったり、相手選手が自分にプレッシャーをかけてこない時には前にボールを運ぶことがあるよね。

このようにボールを運ぶというプレーにも種類があるということだよ。

 
 
第47号 日本の駄菓子は大人気 2014.01.28

写真1:ハーフタイムに戦術を確認する選手達(U-10)


ブログ第21号で紹介した内容を覚えている?

スペインでの年末年始の過ごし方を紹介したよね。

毎年、1月6日に子ども達は親戚から沢山のおもちゃをもらう習慣があるんだ。



写真2:日本の駄菓子


僕も1月に入ると指導する子ども達に日本の駄菓子をプレゼントします。

日本の駄菓子ってね、彼らにとって凄く魅力的なんだよね。

とにかく種類が豊富だし、デザインが細かいし、見たことも無いカタチや味に出会えるから。


写真4:スペインの駄菓子

というわけで今年も年明けの試合の後に日本の駄菓子をプレゼントしました!

すると、翌週、選手達が僕に会うなりこう言います。

選手達:「おい、ちょっといいか?」

僕:  「どうした?」

選手達:「お前に一つ言いたいことがある。」

僕:  「何だ?」


写真3:今季初勝利に沸く選手達
  
選手達:「お前ってやつは本っ当にいいヤツだな!」

僕:  「笑。なんでや?」

選手達:「なんでって!お前は俺たちに日本のおやつをくれたじゃないか!」

選手達:「なんだあの口の中でパチパチするやつは!」

選手達:「めちゃめちゃ美味かったぞ。」

選手達:「ていうか魚の中にチョコが入ってるなんてびっくりだ!」

選手達:「あーいうのはこっちでは手に入らないのか?!」


今年も駄菓子作戦は大成功に終わりました。

 
 
第46号 ブラックカードって何?〜スペインサッカーの問題〜 2014.01.28

今回はスペインサッカーの抱える問題について話をしよう。

スペインでは「自分の子どもにサッカーをやらせたくない」と思う親が増えているんだって。

それはなぜだろう?



なぜならサッカーは「教育上良くないスポーツ」と考える人が増えているから。

スペインのサッカー場ではビックリするくらい沢山の“汚い言葉”が飛び交います。

僕は今大人チームの監督をしているけど、各試合でレフリーに浴びせられる言葉といったらここでは訳せないものばかりなんだ(泣)。

そして残念なのは子ども達の試合でも同じことが起こってしまうということ。

時には親同士で喧嘩になることもある。

先日はある12歳の試合で警察が出動したんだとか。



そこで僕がいるビスカヤ県では昨年9月から育成リーグ(※1)にブラックカードというものが導入された。

※1 育成リーグ 第42号参照

このカードは選手、指導者、客席の人達の言動が教育上あまりに不適切である場合に提示され、試合を中止することができるカードだよ。

さて、みんながプレーしているサッカー場はどうかな?

 

 
第45号 どちらが正しい? 2013.12.28
下の2つの図を見てみて。

図では、ゴールキックが行われようとしているよね。



ここで質問。

赤チームと青チームの並び方、どちらが正しい?

両チームとも、
      GKが1人
      DFが2人
      MFが3人
      FWが1人。

違うのは両チーム並び方だけだよね。


ヒントは第35号に隠されているよ。


写真1 スペインの小学4年生

さぁだれか分かったかな?

第35号でも書いたけど、良いサッカーする上で大事なこと、はなんだった?

それは “チーム全員がイメージを共有している” かどうか。

つまり赤の並び方も、青の並び方も、イメージを共有していればそれは正解だし、共有してなかったら間違いになるというわけ。



写真2 スペインの小学4年生2


例えば。

キーパーからボールを繋ごうというイメージを共有しているのはどっちだろう。

どっちがそのサッカーがやりやすいかな。


逆に、キーパーは凄くキック力があったらどうだろう?

それにFWに体の大きな仲間がいるからまずはそこにボールを入れてから攻撃をスタートしよう!考えていたらどうだろうね?

 
 
第44号 頭で始まって足で終わる? 2013.12.28

こんな言葉があります。

「サッカーのプレーの多くが足から始まって足で終わっている。

しかし、本来サッカーは頭から始まって足で終わらなければいけない。」

これはどういうことだろう?



こんな研究がありました。

ある人がトップレベルの試合を沢山観て、ボールを失った場面を集めました。

そしてそれらの場面を下の2つに分けました。

「判断ミスによりボールを失った場面」
「技術ミスによりボールを失った場面」

判断ミスでボールを失うというのは、例えば、ドリブルしない方がいいのにドリブルをしてボールを取られた場合。

技術ミスでボールを失うというのは、例えば、ボールタッチを失敗したり、相手に上手く体を入れられて奪われたりした場合がそう。



研究結果ではその半分以上が「判断ミスによりボールを失った場面」だったそうです。

さてみんなのプレーはどうだろう?

みんながボールを取られた時何を考えるかな?

何がよくなかったと反省するだろう?



最後に、日本代表の柿谷選手がこんなことを言っていたので紹介しておくね。

「パスを出さず(相手に)取られるかもしれないけど前を向いてドリブルするというのは小学生でもできる。」

 
 
第43 号 スペインの“育成”リーグ戦 2013.12.02
ここでは具体的に現地の10〜11歳の選手達のリーグ戦についてみてみよう。

下の図のようなカタチで子ども達のリーグは組まれているよ。




図1〜3 各リーグ

見てもらったように、レベル別に3段階のリーグがあるよ。

そして、一部には2つのグループ。

二部には9つのグループ。

三部には29ものグループがあるんだ。

それぞれのグループは10チームくらいで構成されている。

その中で毎週一試合ずつ総当たりのリーグ戦行っていくわけ。




写真 10歳の試合

■昇格降格がないリーグ戦?

前号に書いたけど、この年代は【育成】カテゴリーだから昇格も降格もない。

各チームが年度初めにどのレベルのリーグで戦うか選ぶことができるルールになってるんだ。

つまり、
「このチームは10歳だから3部リーグで戦おう。」

「来年は11歳になるから2部にしよう!」

「今年のチームは強いから1部リーグで戦わせてみよう。」

といったことができるわけ。

だからその年リーグで優勝しても、最下位になっても翌年には何も影響しない。

昇格も降格もないっていうのはそういうことだよ。
 
 
第42 号 “育成”リーグ戦って何? 2013.12.02

写真 13歳の試合 ハーフタイム

今日はスペインの同年代の子達がどんな環境でサッカーをやっているのかについて考えていこう。

■カテゴリーの数


図1 カテゴリーの数

最初にカテゴリーの数を見てみよう。

上の図を見て?

日本では大人、高校生、中学生、小学生の4つに別れているよね。

でもスペインは少し違うのがわかるかな。

6つのカテゴリーに別れてる。


■二種類のサッカー


図2 強化と育成

また、スペイン(※)では更にそれらを大きく二つに分けるんだ。

※スペインは地域によって取り組み方に違いがある為、今回は北部ビスカヤ県のケースを取り上げています。

13歳までの子ども達は【育成】というカテゴリーでプレーをする。

そこではサッカーやサッカー以外のことを学ぶことが主な目的とされているよ。

なので、全員の子ども達が一定時間出場しなければいけないというルールも設けられているんだ。

そして14歳以降の子ども達は【強化】というカテゴリーに入る。

ここからは皆より勝敗に注目してサッカーしているよ。


写真 U18チーム(左)とU13チーム(右)


そしてこの【強化】と【育成】には大会の規則上大きな違いがあるんだ。

それは強化ではリーグ間で昇格や降格があるかどうかけれど、育成にはそれがないというところだよ。

具体的なケースは次号で見ていこう。
 
 
第41号 サッカーのことどれくらい好きですか?(2) 2013.11.05


別に負けてもいい。

ミスしてもいい。

テクニックがなくてもいい。

そんなことは一番大事なことじゃない。



サッカーは楽しいもの。

決して苦しいものじゃない。

もしサッカーが今苦しいものになっていたら何かがおかしいよ。



そこから絶対はじまらなきゃいけない。

別に公式戦で勝ち進まなくてもいい。

リフティング?

そんなの3回できれば大丈夫。

別にバルサみたいな華麗なサッカーができなくてもいい。


YouTube動画


最後にある動画を紹介します。

世界のトップレベルでサッカーを楽しむ人のプレーです。

 
 
 

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